初めての草木染め

茜とハンノキ。

春らしい色、綺麗に染まりました。

光沢のあるシルクのストールは、目が覚めるような美しさでした。

想像していたよりも鮮やかで、儚く、ずっと眺めていたくなる色。

初めての、自然の色との出会いがあまりにも嬉しくて、茜のストールは母にプレゼントしてしまいました。

このとき母は、大きな手術を受けた直後でほとんど外出することもなく気分が塞ぎがちになっていたころ。でも、鮮やかなピンク色に染まった布を首に纏うと、表情がパッと明るくなり、とても可愛らしく見えました。

草木で染めた布が、こんなにも人の心を晴らすことができるなんて。

あのとき喜んでいた母の顔が、この先に草木染めの世界に足を踏み入れ、続けていきたい原動力の一つとなっているのだと強く感じています。




インドアカネ【アカネ科アカネ属】

部位:根(乾燥)

同種のニホンアカネ、セイヨウアカネに比べ色素量が多い。

ニホンアカネはその名前の通り、根が赤い事から〔あかね〕と名が付いた。浄血、解毒、強壮の作用があるとされ、利尿、止血、月経不順、神経痛などに効能を持ち、生薬として婦人科系の不調に用いられた。日本では最も古くから使われた赤系の染料で、日の丸の赤はこの染料で染められている。アカネの根に含まれる色素をアリザリンという。アラビア語で「絞り汁」を意味する al-usaraに由来する。染料としては初めて天然物質と同じ有機化合物が合成によって作り出された。


ハンノキ【カバノキ科ハンノキ属】

部位:実(乾燥)

ハンノキ科の低木の実を煮出して染める。同属のヤシャブシは鉄染で鈍い灰色に染まり、江戸時代では、茶色や藍色と並んで「粋」な色とされてきた。

寒冷地である北方地域では、毛皮、革を樹皮により染色していたことが広く見られる。



草木の声を染める

肉眼でしか味わえない、その日そのときだけの色。植物が秘めている色彩への好奇心を駆り立てられた経験と、草木が育った時間、環境、物語が重なりあってわき出る色に出会う喜びを綴っていきます。

0コメント

  • 1000 / 1000